総務省が2025年1月31日に発表した住民基本台帳人口移動報告は、東京圏(1都3県:東京、神奈川、千葉、埼玉)への 転入超過が13万6515人 に達したことを明らかにしました。
この数字はコロナ禍前の水準を上回り、政府が2014年に始めた地方創生政策が10年経過した今も東京一極集中に歯止めがかからない実態を浮き彫りにしています。




若年層と女性の流出が深刻化


詳細なデータ分析から見えてくるのは、
15~29歳の若年層が
転入超過の68%を占めるという構造です。
進学先の大学が東京圏に集中する現状(全国の大学の約3割が首都圏に立地)が、この傾向に拍車をかけているのです。
さらに注目されるのが、40道府県で女性の転出超過が男性を上回る現象です。
背景には地方における男女間賃金格差(全国平均で22.8%差)や、伝統的な性別による役割分担意識の残存が指摘されています。保育士や看護師など女性が多い職種の待遇改善が進まないことが、地方での生活継続を困難にしている実態も浮かび上がります。
賃貸市場の最新動向


都心部では再び転入超過が進み、
住宅需要が回復して空室率が改善し、
募集賃料は過去最高水準に達しています。
2024年の賃貸市場では、全ての間取りタイプで家賃相場が上昇しており、予算の増額傾向が鮮明になっています。原因は「インフレ」です。
東京圏のワンルームでは、令和2年4月時点で家賃の平均は73,797円でした。それが、令和6年3月には、78,908円と約5,000円も上昇しています。年間だと6万円です。
特に東京都心の好立地のエリアに関しては新築ワンルームマンションの供給も少なくなり、既存の中古物件の家賃が上昇傾向にあります。
地方創生政策と賃貸市場の関係性


地方創生施策として、
移住支援金や地方企業への補助金など
様々な取り組みが行われていますが、
それでも若年層や女性を中心とした
人口流出は止まりません。
この現象は地方での魅力的な雇用機会や生活環境の不足だけでなく、東京圏で得られる利便性や多様な選択肢への期待感も要因となっています。
東京圏への転入超過が続く複合的な要因



経済的要因
企業集積による相乗効果が主要因として挙げられます。具体的にな以下のとおりです


⚫︎ 大企業の本社や金融機関の集中
⚫︎ ビジネスチャンスの豊富さ
⚫︎ 取引先や関連企業の存在
⚫︎ 知識の学習機会の多さ
教育・就職要因
転入超過の中心となっているのは若年層で、以下の要因が強く影響しています


⚫︎ 大学などの教育機関の集中
⚫︎ 正規雇用や事務職などの多様な就職機会
⚫︎ サービス産業の集積
女性の移動に関する特徴
2009年以降、女性の転入超過が男性を上回る傾向が続いており、その背景には


⚫︎ 専門的・技術的職業の豊富さ
⚫︎ 事務職の多さ
⚫︎ 女性の大学進学率上昇
所得・生活環境要因
地方との格差が転入を促進しています


⚫︎ 都市圏と地方圏の所得格差
⚫︎ 教育や学力の地域格差
⚫︎ 生活水準の差
このような複合的な要因が相互に作用し、東京圏への人口集中は2024年も13万5,843人の転入超過を記録し、前年から9,328人拡大する結果となっていることは頭に入れておきましょう。
最後に
以上のとおり、政府の思惑とは裏腹に、今後も東京一極集中は続く可能性が高いと思います。
投資物件を運用する上で、大切なのはリスクの最小化です。賃貸経営で最大のリスクは「空室」人口集中が続く東京都心に物件を所有することは、空室という最大のリスクを最小にできる堅実な選択といえます。
最後まで読んでいただきありがとうございました。これからも皆さんにとって有益な記事を発行していきます。ぜひお楽しみに!


