なぜ節税になるのか仕組みを理解しよう
不動産投資における節税の主な仕組みは「損益通算」と「減価償却」です。
どちらも大切な言葉なので、しっかり理解していきましょう。
「損益通算」について
ポイントは「損益通算を活用すれば、本業の税金を還付される場合がある」ということです。
サラリーマンのみなさんを例にあげると、
給与所得と不動産所得の赤字を相殺できるので、払い過ぎた税金があれば戻ってきます。
たとえば、
サラリーマンのAさんの給与所得が600万円で、
不動産所得が100万円の赤字だった場合を考えてみましょう。
給与所得と不動産所得を合算すると、600万円-100万円=500万円になります。
しかし、
Aさんの給与所得600万円にかかる税金が、すでに源泉徴収されています。
なので、100万円分の所得にかかる税金が「払い過ぎ」になっています。
この払い過ぎた税金が確定申告を行うことで戻ってくるのです。
これを「還付金」といいます。
減価償却について
減価償却とは、物件の価値が経年により減少することを考慮し、
その減少分を所得から差し引くことのできる制度です。
具体的には、物件からの賃料収入があるにも関わらず、
減価償却費の計上により帳簿上では赤字となる場合があります。
つまり、
実際の収支はプラスなのに、税金の負担を軽減できるというメリットがあるのです。
この減価償却による赤字は、不動産投資で節税戦略に有効といわれています。
それでは、減価償却費ってどのように計算するのでしょうか?
不動産を購入する際、土地と建物の価格は別々に評価されます。
一方、建物部分は、経年劣化により価値が下がるため減価償却できます。
例えば、
3000万円でマンションを購入して、
評価額が土地価格 1200万円、建物価格 1800万円とします。
土地は減価償却の対象外ですが、
建物の部分は耐用年数(例: 35年)で均等に経費として計上することができます。
仮に耐用年数があと30年であれば、
毎年60万円(1800万円 ÷ 30年)を経費として計上することができます。
この60万円は「物件の価値が下がって損した」と扱われ、
所得から差し引くことができる。
こうしてみると、
不動産投資では「損益通算」と「減価償却」によって
大きな節税効果があるように感じますよね。
実際、「節税効果」を強調する不動産業者もいます。
次からは、その理由を説明しますね。
損益通算の注意点
不動産投資は「不動産賃貸業」すなわち事業であると私は考えています。
なので、家賃収入よりも経費が上回っている赤字の状態は避けるべきです。
たとえ、損益通算によって赤字分の税金を節約できても、
毎月、資金流出が発生しているため、財務状況は良いはずがありません。
営業利益が赤字となる理由は、
予期せぬ空室率の上昇、高額な修繕費用などがあります。
こういった事態は、急に発生しますが想定は可能です。
なので、毎月の収益を貯めておけば対応できます。
一方、常に赤字の状態は深刻です。
多くの人は、
金融機関から融資を受けて物件を取得するため、
毎月のローン返済が生じます。
これに加え、管理費や修繕積立金といった費用もかかるので、
毎月の営業利益は下の式で計算します。
「毎月の営業利益 = 家賃収入 - ローン返済額 - 管理費 - 修繕積立金」
これが赤字ということは、
「家賃収入 < ローン返済額 + 管理費 + 修繕積立金」の状態です。
ただ、この関係は物件を取得する際にシミュレーションできます。
例えば、
家賃収入が80,000円、ローン返済額が75,000円、管理費が7,000円、修繕積立金が5,000円だと、
「毎月の営業利益 = 80,000円 - 75,000円 -7,000円 - 5,000円」
なので、毎月7,000円の赤字です。
最近、特に物件価格の上昇により、
「フルローン」で物件を取得すると、毎月のローン返済額が大きくなっています。
一方、家賃収入はそれほど変わっていません。
この「常に赤字の状態」を回避する方法は、2つあります。
1つは物件を取得するときに頭金を多く入れて、金融機関からの融資額を減らすことです。
そうすれば、毎月のローン返済額も減ります。
赤字を回避するには、頭金をいくら入れたらよいのか、
簡単にシミュレーションできるのでおすすめです。
もう1つは、物件を取得後にもできる方法です。それは「繰り上げ返済」です。
繰り上げ返済には「期間短縮型」と「返済額軽減型」があります。
毎月の営業利益を増やすために繰り上げ返済をするのであれば、
いくら繰り上げ返済すると、
毎月のローン返済額がいくらになるのか、といったシミュレーションも簡単にできます。
もし、現時点で毎月の営業利益が赤字の場合、
すぐにでも手持ち資金を貯めて、繰り上げ返済で赤字を脱却しましょう。
不動産賃貸業の事業主としては、
節税を目的とした赤字の状態を続けるよりも、
毎月の収支を改善させることのほうがはるかに大切です。
※ 最後まで読んでいただきありがとうございました。
※ これからも皆さんにとって有益な記事を発行していきます。ぜひお楽しみに!
私は国家資格「賃貸不動産経営管理士」に合格しているので
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